
「コンボルト型ケミカルタンク」の概要
地震・津波などの災害に強く、防油堤と同等の機能を備えた「コンボルト型屋外燃料タンク」の技術を用いて、鋼製タンク内部をふっ素樹脂(ETFE)でライニング加工した「ふっ素樹脂ライニングタンク」、内部鋼製タンクをステンレス鋼で製作した「ステンレス鋼製タンク」の2つを「コンボルト型ケミカルタンク」として製品化いたしました。
今まで、鉄製タンクで貯蔵することが出来なかった毒劇物を含むアルカリ性液体や酸性液体などの様々な薬品を貯蔵することが可能な屋外貯蔵タンクです。もちろん、毒劇物の貯蔵に必要な防液提の設置が不要であり、工事コストおよびライフリサイクルコストの低減につながります。
大規模地震に対する耐震・耐津波対策、また施設の早期復旧に役立つ屋外貯蔵タンクとして、環境保護はもちろん、人々の生活を守る為の薬液用屋外貯蔵タンクとしてご活用いただければ幸いです。.
「 コンボルト型ケミカルタンク」とは
内部鋼製タンクをふっ素樹脂(ETFE)でライニング加工した「ふっ素樹脂ライニングタンク」と内部鋼製タンクをステンレス鋼で製作した「ステンレス鋼製タンク」の2種類があります。
ふっ素樹脂ライニングタンク
●ふっ素樹脂ライニングタンクは本体内部の鋼製タンクをふっ素樹脂(ETFE)でコーティングしたタンクです。
●ETFEとは、テトラフルオロエチレンとエチレン共重合体(4フッ化エチレン・エチレン共重合樹脂)によって得られるふっ素樹脂(ふっ化炭素樹脂)です。
ETFEには、以下のような特性があります。
・優れた耐食性 ・ふっ素樹脂の中では、比較的安価 ・高膜厚が得られ長寿命
そのETFEを回転形成技術(中興化成㈱)によって、ピンホール等が無いように内部にまんべんなくコーティングして製作されます。
※ふっ素樹脂(ETFE)の耐食表は別添の表を参照してください。
ふっ素樹脂(ETFE)チューコーフーロー®ロトライニングの特徴

本製品は独自の二重漏れ防止機能を有した屋外貯蔵タンクで、「防液堤と同等の機能を有したタンク」と評価され、毒物及び劇物取締法の基準で定めている防液堤の設置を省くことが可能である。
- ●プライマーを使用しなくても基材との密着性に優れるため、工程が簡略化され低コストで施工可能。
- ●継ぎ目の無い一体成型が可能です。
- ●薬液の種類・使用条件に合わせて任意の肉厚設定(1mm~4mm)が可能です。
※薄膜による軽防蝕については別途お問合せください。 - ●負圧、高圧に耐える密着厚膜ライニングです。
コンクリート圧縮強度 | 21N/mm2 以上 |
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設計圧力 | 0.3Mpa |
最高使用圧力 | 大気圧 |
最高使用温度 | 65℃ |
貯蔵対象物 |
毒物及び劇物またはそれ以外の液体で、ETFE及びポリエチレンを浸食しない液体。 高圧ガス取締法及び消防法が適用される液体以外の液体。 |
品質・安全規格 |
毒物及び劇物取締法 毒物及び劇物の貯蔵に関する構造・設備等基準 |
用 途 |
・毒物及び劇物に分類される液体の貯蔵タンク ・毒物及び劇物以外のその他液体の貯蔵タンク |
その他・特記事項 |
・高圧ガス取締法及び消防法が適用される液体の貯蔵に使用しないこと。 ・本タンクの機能の維持のために、別に記載した点検表に基づき、定期的に点検を行うこと。 |
ETFEの耐薬品データ (中興化成㈱データ)
ふっ素樹脂ライニングタンク(ETFE)の仕様
ステンレスタンク
●ステンレスタンクは本体内部の鋼製タンクをステンレス(SUS304・316)で製作したタンクです。ステンレス(SUS304・316)は鉄と比較してさび等の腐食に強い素材です。さびだけでなく、アルカリ性溶液等にも強い耐食性があることが知られています。
●鉄にクロムを添加していくとだんだんとさびにくくなっていきます。10.5%以上のクロムを添加し非常にさびにくくなったものをステンレス鋼といいます。ステンレス鋼は耐食性以外にも 耐熱性・加工性・強度など優れた特性を備えています。
メンテナンスが容易であることも大きな特徴です。
ステンレスタンクには危険物に該当しない濃度のアルコール類やアルカリ性水溶液や種類によっては酸性の液体を貯蔵することができます。
※ステンレスの耐食表は別添の表を参照してください。
ステンレスの耐薬品データ
ステンレスが錆びにくい理由
一般に、鉄に約10.5%以上のクロムを含有した合金をステンレス鋼といいます。ステンレス鋼の表面は不動態皮膜と呼ばれる厚さが数nmで、主にクロムに酸素と水酸基が結合した非常に緻密で密着性の高い膜で覆われています。この皮膜は引っかき疵等で一部除去されても酸素があればすぐに再生される性質を持っており、この皮膜が腐食環境からステンレス鋼を保護しています。
ステンレス鋼の腐食要因
ステンレス鋼は上記の不動態皮膜により、優れた耐食性を有していますが、置かれた環境によってはこれが破壊されて腐食が発生します。腐食に影響する主な環境因子としては、溶液の酸の種類及びpH(酸性かアルカリ性かを示す尺度)溶液中の溶存酸素量、溶液中のハロゲン系元素の存在、環境の温度等があります。